朝日新聞朝刊(2016年1月24日)の記事を紹介します。

国から研究費 論文を原則公開 ~ネット上で根拠のデータも対象~

公的資金を使った研究について、政府は学術論文やデータをネット上で原則公開させる方針を決めた。国内の科学技術関連予算は年間約4兆円に上るが、論文の多くは有料の商業誌に掲載され、自由に閲覧できない。成果を社会で共有し、研究の発展を促す狙い。

国内の大学や研究機関が関わる科学技術の論文数は年間7万本を超える。米国や英国で公的資金を使った研究論文の公開義務化が広がっており、日本でも進める。22日に閣僚決定した第5期科学技術基本計画(2016~20年度)の期間中に実施を目指す。

国の研究費を配分する科学技術振興機構や日本学術振興会が大学に研究資金を出す際、論文の公開を条件にする方法などを検討している。研究者は、論文を無料で読める電子雑誌に投稿するか、有料の雑誌に出す場合は大学などが設ける専用サイトで、ほぼ同様の内容を無料で読めるようにする。

STAP細胞などの研究不正が相次いだことなども受け、論文の根拠となったデータも公開の対象とする。知的財産などに問題がない範囲が対象で、データを管理、検索できる基礎つくりを国立情報学研究所が中心になって進める。多くの人が論文やデータを目にしやすくすれば、成果の活用が進み、研究の透明性も高まると期待されている。

ただ、無料公開の電子雑誌に掲載するには、著者が数万~数十万円の費用を出版社に払う必要がある。大学などの専用サイトに乗せる場合、出版社側から公開の猶予を求められ、公開の時期が遅れる可能性もある。  文部科学省で公開について検討する委員会の委員を務める西尾章次郎・大阪大総長は「公開が進めば、異分野のデータが組み合わさって新たな研究領域をひらきやすくなる」と話している。

(阿部彰芳)

本研究会の学術誌「Glycative Stress Research」の刊行趣旨は政府方針に適合しています。今後は、(1)論文の根拠となったデータを関連付けて公開できるシステムを構築する、(2)著者の掲載費用負担の軽減する(現行は海外からの投稿論文は無料掲載)、といった課題に取り組んでいきたいと考えております。

米井嘉一

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